07年度予防と健康管理ブロックレポート
T はじめに今回、ストレス、アミラーゼというキーワードから二つの論文を選び、その二つの論文の内容の概略を自分なりにまとめ、レポートにしました。
U キーワード ストレス アミラーゼ
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機能性ポリフェノール 著、寺尾純二 芦田均
ポリフェノールとフラボノイド
ここでいうポリフェノールとは植物が二次代謝産物として産生するフェノール性の水酸基を複数もった化合物群をいう。フラボノイド類、リグナンに分類される。
植物中ではこれらの化合物が重合した高分子タンニンとしても存在しており、フラバノール骨格が重合した縮合型タンニン、加水分解型タンニン(ガロタンニン、エラジタンニンなど)の2種類がある。
しかし、機能性研究が最も進んでいるのは、植物性食品に普遍的に含まれている単分子化合物フラボノイドである。
フラボノイドとは、紫外線防御作用、抗菌作用、他感作用(アレロパシー)、苦味や消化酵素阻害による食害防御などの機能が植物体ではあげられている。
フラボノイドの標的部位と酸化ストレス
フラボノイドが抗酸化活性を発揮する標的臓器として最も重要なのは消化管粘膜である。経口摂取したフラボノイドは確実に消化管を通過して、その多くは糞とともに排泄される。小腸粘膜に吸収されたフラボノイドの一部は刷子縁に存在する排出システムによって排出され、体内へ輸送されたものの一部は肝臓から胆汁へ排出される。したがって、意外にも消化管粘膜は長時間にわたって食物中のフラボノイドそのものや代謝産物に曝されることになる。消化管粘膜は食物由来の酸化促進物質や脂質過酸化物にも曝されるため、強い酸化ストレスを受ける部位である。これらの酸化ストレスは粘膜の炎症を惹起し、さらには発がんに関与する可能性もある。このことは、日常摂取するフラボノイドが排泄されるまでの消化管において抗酸化作用を発揮することにより、消化管粘膜を酸化ストレスから保護することを示唆するものである。
アミラーゼ阻害
糖類分解にかかわる消化酵素であるα−アミラーゼやα−グルコシダーゼも、ポリフェノールにより阻害されることが知られている。膵臓リパーゼ阻害がポリフェノールによる抗肥満作用を説明する一つのメカニズムであるのと同様に、腸管における糖類分解酵素阻害はポリフェノールによる血糖値コントロールの一つのメカニズムとして捉えられている。これは、消化管内で炭水化物、特にデンプンやスクロースの消化吸収を阻害することで食後血糖の急激な上昇を穏やかにできるという考えによる。茶カテキンに関しては、比較的高純度(90%)のカテキン組成物を用いた動物実験がなされている。可溶性デンプンあるいはスクロース投与30分前にカテキンを経口投与することで、小腸におけるα−アミラーゼとα−グルコシダーゼが阻害され、結果として炭水化物負荷による一過的な血糖値上昇の抑制作用が認められている。カテキン類はα−アミラーゼに非特異的に結合することで阻害作用を示すのであろう。また、ヒト唾液α−アミラーゼを含むたんぱく質画分とカテキンやプロシアニジンとの結合も認められている。
今回この論文を選び読んでまとめてみましたが、正直いって失敗したかなと思っています。なぜならこの論文は、タイトルを見た時点できずいたら良かったのですが、ポリフェノールが主体の論文であまりストレスとアミラーゼというキーワードについての話がなかったからです。この失敗をいかして次の、唾液α−アミラーゼの定量による小児患者の歯科治療におけるストレスの評価という論文はちゃんとこの二つのキーワードが出てくるので、まだちゃんとしたものになっています。
唾液α−アミラーゼの定量による小児患者の歯科治療におけるストレスの評価 著、平尾彰規
歯科治療における診療環境や痛み刺激は、恐怖や不安の増大を生じさせる。このストレスがトラウマとなり、治療が必要とされる口腔疾患があっても歯科を受診しない、いわゆる受診回避や早期治療の機会を失う原因となる。特に小児の歯科治療においては不適応行動を起こす原因となる。そのため、歯科治療における患者のストレスを的確に評価し、そのストレスを軽減させるための対策を講じることは、重要な課題である。生体がストレスを感じると、ストレス刺激が大脳皮質から間脳視床下部の中枢神経へと伝達し、さらに交感神経〜副腎髄質へとつながるsympathetic nervous adrenomedullary system(SAM)と、脳下垂体〜副腎髄質へとつながるhypothalamic adrenocortical system(HPA)の二つのストレス反応系が活性化され、二つの系から放出されるストレス関連物質の作用により、ストレスに対する生体反応を惹起する。生体のストレス関連物質には、アドレナリンなどのカテコールアミンや、コルチゾールがある。分泌されたカテコールアミンやコルチゾールは血管系または内分泌系を通して血中、尿中、唾液中に分布する。しかしながら血中における検出系でカテコールアミンは非常に不安定な物質であり、またその濃度が低いためその測定は非常に困難である。血中コルチゾールは日内変動や性差があるため、特に日内変動の開始期を特定しにくい小児や未熟児における指標には適さない。
最近、ストレス関連物質の測定対象の検体として、血液よりも非侵襲的で安全かつ容易である唾液が注目されている。唾液中に存在するストレス関連物質としては、カテコールアミンやコルチゾールのほかにクロモグラニンA(CgA)、分泌型IgAやαアミラーゼが見出されている。
Morseらは唾液αアミラーゼ酵素活性変化が緊張や興奮による血中カテコールアミン濃度よく相関していることを報告し、ストレスを評価する優れた指標であることが示された。血中カテコールアミンに比べて唾液アミラーゼを用いる。手法の利点は、測定に必要な十分な量の試料を非侵襲的に確保できることが挙げられる。
本研究では生理的なストレス指標物質として、唾液αアミラーゼに着目した。唾液αアミラーゼは内分泌作用のほかに交感神経からの直接作用による反応が見られるため、ストレス刺激に対して速やかに酵素活性が上昇する。この特性は歯科診療中のさまざまなストレス刺激に対する生体の反応を観察することに適していると考えられます。また酵素活性の変動を観察することから唾液の流量に影響を受けにくいことも唾液αアミラーゼを用いる利点である。さらに、唾液を検体に用いる利点として、非侵襲的な採取が可能であること、測定に必要な採取量が確保できること、操作前処理が不要なことなどが挙げられる。簡便かつ客観的評価として用いるのに優れた点が多く、ストレス研究における指標物質として有用であると考えられた。しかし他のストレス評価物質にも共通する問題点として、ストレスの要因が多岐にわたることや個体によるストレスの感じ方に差があるため、測定に関する個体差も大きいことが予測された。実際に、本研究においても個体間のばらつきが認められた。また、成人の唾液αアミラーゼを測定した報告と比較して相対的に低値であり、処置前および処置後で検出限界以下の測定値も存在した。このように成人と小児での酵素活性の相違が存在するものの、小児における唾液αアミラーゼ活性を検出することは可能であった。
診察状況ごとに唾液αアミラーゼ活性を比較すると、性別による比較では女児の方が処置後の酵素活性の上昇率が高く、治療によるストレスを受けやすい傾向が示唆された。年齢による比較では、7歳未満の幼児群でより高値な酵素活性の推移が見られ、治療によるより多くのストレスを受けている傾向があった。処置の違いによる比較では、観血処置において処置後の酵素活性が有意に増加しており、より多くのストレスがかかっていることが示唆されていた。また、非観血処置において診療まえに高い酵素活性を示したが、非観血処置のほとんどが処置に対する不安の高まりが反映されていると示唆された。浸潤麻酔用の有無による比較では、使用ありの群で処置前の酵素活性の値が使用なしの群より高く、使用なしの郡において処置後の酵素活性の上昇率が大きいことから、浸潤麻酔時の痛みによるストレスの増大、および浸潤麻酔の奏効による治療時の痛みの軽減がストレスの上昇率に関与していることが示唆された。切削器具の有無による比較では、
切削器具の使用による音や振動の影響でストレスが増加することを予測していたが、切削器具を使用していなかった群において酵素活性値の上昇率が高かった。これには切削器具からの注水の影響が考えられた。不適応行動の有無による比較では、不適応行動があった郡の上昇率が大きくストレスが不適応行動の要因になっていることが示唆された。
以上のことから、歯科治療自体が患児のストレスを増加させ、特に治療による痛みと処置の重篤度がストレスの増大因子として関与していることが示唆された。また、女児、低年齢児、不適応行動がみられた患児は、ストレスに対する感受性が高いことが示唆された。
唾液αアミラーゼ活性の定量により小児の歯科治療にたいするストレスを簡便かつ非侵襲的に評価することが可能であることから、今後はこの方法を用いて痛み刺激や処置の違いなどについてさらに詳細な評価を行い、この結果を日常の小児科治療にフィードバックして、歯科治療に対する不安や恐怖をできるかぎり軽減することで、小児がより快適に歯科治療を享受することができるよう工夫していく必要がある。
この論文は前にレポートした、機能性ポリフェノール、という論文と違いちゃんと全体的にストレス、アミラーゼというキーワードが出てくるのでとても分かりやすかったです。
W 選んだ論文の内容と、ビデオの内容から、自分自身で考えたことを、将来医師になる目で捉えた考察
今回自分はうつ病の方のビデオを参考に論文を選びました。ビデオではうつ病とは三十歳台で急増するそうです。三十台とは家庭を持ち、会社にとっても大事な戦力となる時期です。その原因として考えられるのは、過重労働やリストラ、成果主義による仕事に対する圧迫感、ポストをめぐる激しい競争、職場のコミュニケーションの減少が挙げられます。そしてこの病気になったとたん、会社を解雇される人もいて、これに対する弁護士団もいます。その逆に心の病になった人に対して、その原因の軽減に取り組む会社も存在します。また現在ではうつ病になった人に対する支援体制もあり、その例として復職支援プログラムやMDAなどがあります。うつ病になると緊張感や不安感、食欲の減退、そして何事に対してもやる気がないなどといった症状がでてくるので、自分はこの病気は結構深刻であり、そのひとの人生という点ではある意味かなりの損害が出ると思うので、もっと注目するべきだと思います。
またストレスを客観的にとらえるでは、ストレスを客観的にとらえていて、ストレスとは体を守るために必要なものです。生きるためにある程度のストレスが必要です。このことをストレスマネージメントといいます。脳がストレスを感じると副腎からストレスホルモンが分泌されます。それにより唾液中のアミラーゼの量が増加したり、脳の血流が増加したりします。しかし問題なのは、ストレスによっていろいろな病気になったりすることです。その例としてうつ病や糖尿病、過敏性腸症候群、不眠症、不整脈、不妊症などがあり、ストレスによる生活習慣病が問題になっています。
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今回、二回に分けてアスベストとうつ病に関するビデオを見て、ストレス、アミラーゼというキーワードから二つの文献を検索し、レポートにまとめましたがこれをして一番良かったことは自分で論文をひっぱりだしてきてそれを読み、まとめるという作業をしたことだと思います。こうゆう作業はこれから医者になってからも必ず必要な作業になってくるので、それを経験するいい機会だったのでとても自分にとってプラスになったとおもいます。